あ~、昨日の夕方からホントに寒かったケド、花粉関係者の方々にはその方がいいのかな?


↑そんな、色んなモンが舞っている東京練馬では、粛々とフンばるしか能がございませんっ!本日は、予告通りに「本ネタ」を華々しくお送りいたしますが、「本ネタ」やりますと、もはやダレもついてきてないよな気もいたします(泣笑)ゆえ、専らワタシ自身の備忘録というコトで・・・。上の2枚の画像は、同じものです。グラントゥーリズモの大きくて華麗なドア、よりによって緩く美しいエッジをたてたプレスラインに“縦チョップ(歪み部分の全長20センチ、全幅5センチほど)”を入れられて、「見るたびにココロがイタむ(泣笑)」と仰る「世田谷のO」さんの御心を、どうにか癒そうという試みにチャレンジいたしました。

↑一見して「う~ん・・・」と唸り出した、いつものフィニッシャーNさん。「とりあえず、上からはムリみたいなんで、内張りトレますか」「んぢゃ、セキニンモンダイに発展(笑)するとイケないんで、ワタシがやります・・・」。Nさんの持つ他メーカー車での知見も伺いながら、ウチの三男とともにパーツリストでその構成をチラチラ確認しつつ、従来のマセラティで得た経験を総動員し、三人がかりで初めてのトリムハズし作業を行いました。ハズれてみれば、「はぁ・・・こーなってるんだぁ」と得心するばかり。



↑ようやく内張りトリムをハズしてサービスホールが顔を覗かせてくれましたんで、作業開始。この時、北風が強く吹き抜ける状態で、もう寒いったらありゃしません。凹み歪みの“患部”をヒートガンで温めつつのデント作業となりました。



↑昨日のデント作業では、サービスホール自体はイイ感じに開いているものの、“デントバー”の操作に於いて、テコの支点に相当する部分が見いだせなかったために、上図の要領で地道に攻めて頂きました。作業開始当初、冷え切った外板は想像以上にカタく、押せども押せども戻ってきてしまう状況でしたが、そのうちコンマ数ミリずつの歩みで歪みが無くなってまいりました。



↑スッカリ日も落ちようという頃、ようやくミッション完了のコールが掛かりました。そもそもエッジを効かせたプレスラインは、外板成型時に金属の密度が高まっているため、周囲も含めて非常に硬くなっており、ソコを内側から押し出すのは相当難儀な工作と云えるうえ、このグラントゥーリズモの場合には、プレスラインの上部にアール面、下部に逆アール面がなだらかに付いているという最高難度。コレを寒風突いてヤリ抜いてくれたNさんにはアタマがアガりません(ぺこぺこペコリ)。


↑ついでながら、マセラティグラントゥーリズモのドア内張トリムをせっかく初めてハズしたものですから、後のために(忘れっぽい自分のために:笑)ココに詳解しておくコトにしました。コレ、地味ながらヒトの役にたちそうなんだケドな。エアバッグのハーネスをハズすためには、いったんバッテリーターミナルをハズしておく必要があります(バッテリーを再び繋ぐ時には、必ず必要となる難解な儀式というか御作法があるんですが、ココでは論じません)。上の画像では、トリム裏側に付いている固定具の構成と形状を把握出来るように説明を加えてあります。
ピンク色で示したガイドピン(黒い樹脂製の太いピン)をはじめになんとなくボディ側の孔に保持した状態で支点とし、緑色で示したクリップをボディ上部のレールにすべてをスベり込ませたうえ、最後に水色で示したグロメットピンをボディ側の孔にそれぞれ合わせつつ、トリム本体を叩き込むのが、製造時の手順であると思われます。コレだけでも、ほぼ完全にトリムとボディは固定されます。



↑さぁ、コレも最難関を突破するための「試験に出るネジの場所(略して“出るネジ”:笑→ナンの試験ぢゃ)」ですヨ。初めのうち、サイドエアバッグや上部の黒い水切りモール部分とトリム本体が、それぞれ分離する設計である可能性を考慮しつつの作業でしたので、「なぁ~んだ、全部一体なのか・・・」と判明したダケでも大きな悩みがふたつも減るハズです。特に上画像のBとCに入る長いキャップボルトが、トリムとともにサイドエアバッグユニットをもボディに締結するようになっているところなど、ヒジョーにニクい設計だなぁと思いました。
2本のタッピングビスはトリムの底部を覗くとスグに見えますが、多くのヒトは、この2本ダケをハズして残りは大方お手上げとなりそうです。DとFはドアグリップ(把手)の上下をガッチリと固定するためのボルト。Eはドアインナーノブの後ろ側に在って、やはりボディにガッチリと固定され、思いっきりインナーノブを内側に引いた時にトリムが一緒について(割れて)こないよう配慮補強したモノだと思われます。このEのボルトも隠しネジとなっており、インナーノブの裏側に位置してストッパーの役割をする“黒く小判型の弾性体部材”をハズすコトによって、ボルト頭部に工具が入れられるようになってます(写真撮り損ねた)。・・・嗚呼、自分のためとはいえ、メンドくさいネタ書き始めちゃったなぁ(ハヤくおうちに帰りたひ:泣笑)。




↑なんで大方がお手上げかと申せば、近頃の固定ピン類の数々は本当にしっくり&ガッチリと食い込んでおりまして、「ソコはそういう向きで、こういった留め方をしている」と判っていて全力で引っ張ったりコジったりと挑んでも、なかなかハズれようとはしないモノです。ましてや、暗中模索モードでは各部材を破損させないようにハズすのに困難を極めます。
例えば、このドアウインドー底部最先端に位置するツイータースピーカーを内蔵した三角野郎(笑)。同じマセラティでもクアトロポルテⅣの前期型・後期型(エヴォ系を除く)でしたら、同じ意味の部材をワタシなら3秒でトルことが(笑)出来ますが、グラントゥーリズモのコレをハズすには、構造を見切るのに時間が過ぎゆくばかり・・・3人掛かりでハーヒー云いながらの作業となりました。
凝ったコトしてありますよねぇ・・・“黒い三角野郎”は、上部のひとつがボディに刺さり、下部のふたつはトリムに固定されたステーに取り付けられているという。コレは振動などでもそう簡単にはビクともいたしませんね。同じ“黒い三角野郎”でもデ・トマソ時代のヤツなんかもう・・・(以下省略:笑)。




↑最後に、このトリムをハズす作業の中で最大の難関が、この樹脂製のガーニッシュをコワさずに、トリムから分離する工程です。ココは画像を見たヒトの中で、「判るヒトだけが理解できる」領域なので多くを語りません。ソレにしても、おそらくは軽量化の名目でこの部材を樹脂化してコストダウンするとは・・・せめて軽量アルミダイキャストのままでいて欲しかったなぁ。まだ突板張ってないだけマシだけど(クアトロポルテⅤのウッドパネルをハズすのは、ホント命がけだったんですから:泣笑)。

↑小さくて地味ですが、このフタも最後のひとつがテコでも動かなかったモノです。でも、中にはガッチリ締結されたボルトがありますんで、トリムをハズす時に逃げるワケにはイカんのですよ。

↑諸々あったデント作業に伴うトリム脱着工程も、無事にフィニッシュ。本日御納車出来ました!
それじゃー、また明日。今週も匍匐の歩みで納車をお待ちの方々には申し訳ございませんデス。
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このブログを読んで、マセラティを初めとするイタリア旧車の世界に足を踏み入れたくなってしまったアナタ(あんまりいない様な気がするケド:笑)は、マイクロ・デポ株式会社の公式ホームページ「マセラティに乗りませんか・・・」の方ものぞいて見てくださいね。さらにディープなネタ、やってます。